僕が敬愛してやまない漫画家のひとりに「つばな」という作家がいる。
つばな (12月28日- )は 日本の漫画家。
2007年、徳間書店『月刊COMICリュウ』の第一回龍神賞・銅龍賞を『子宮と部屋』により受賞(2007年9月号掲載)。同誌2008年8月号より『第七女子会彷徨』(全10巻)の連載を開始。
『第七女子会彷徨』は2013年の第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門にて、審査委員会推薦作品に選ばれた。
他に『バベルの図書館』(太田出版『マンガ・エロティクス・エフ』で連載、全1巻)、『ホブゴブリン 魔女とふたり』(幻冬舎『コミックスピカ』、幻冬舎『月刊コミックバーズ』で連載、全1巻)、『見かけの二重星』(講談社『Kiss』で連載、全1巻)などの作品がある。
出典:ウィキペディア
つばなさんの作品との出会いは書店に並んでいた、当時新巻の『第七女子会彷徨』の1巻だった。
藤子不二雄の系譜で、SF×ギャグを得意としている。
また、ジョジョばりの独特な擬音語「パチカパチカ」(メロンパンに紛れ込んでいた異世界生物の目が開く音)、「らむーる」(やつれた表現)、「ポニャーン」(魂が飛び出る音)、「フタッ」(蓋が閉まる音)は、個人的に評価したい点である。
そしてジャケ買いした『第七女子会彷徨』はズキュウウウンと僕の琴線にふれた。
目次
『第七女子会彷徨』
代表作。作品の名付け親は漫画家の石黒正数。
もともと、つばなさんが石黒さんのもとでアシスタントをしていた経験があり、その縁から。
全10巻で、量的に読みやすい部類になると思う。
今よりも科学の発展した近未来のお話。トラブルメーカーの高木さんが「友達選定システム」で出会った金やんと日常を過ごしていく。
『見かけの二重星』
全1巻。
謎の天才のおかしな科学実験に巻き込まれて、二人に分裂した女子校生のお話。
ポップでキュートなところは『第七女子会彷徨』と共通している。
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↓ラジオドラマも。
『バベルの図書館』
全1巻。
手法を変える、というか、とにかくチャレンジしたい! という作者の試みが感じられて楽しかった。
難解さが増したので、それまでのファンでも苦手な人がいそう。
『ホブゴブリン 魔女とふたり』
全1巻。
主人公・ポーリーンはホブゴブリン、暖炉の妖精。いつも不機嫌で、食べもののことばかり考えている年老いた魔女・バーバと2人、森のなかで暮らしている。
先の読めない展開など、自身の長所を残しつつ、童話的な世界にどっぷりつけて味付けしている。
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ここまで書いてふと思ったけど、彼女(彼?)の哲学が好きだ。
作品を通して伝わってくるそれは、手法は変われど不変で、ずっと眩しい。
『惑星クローゼット』
1巻~現在連載中。
夢が奇妙な世界とつながってしまった少女・愛海が、そこで出会った少女と協力して帰り方を探す物語。
ギャグ少なめ、SF多めな作り方は、『七女』(第七女子会彷徨)の後半のそれに近い。
少なくなったギャグ部分を埋めるかのように、ホラーテイストなパーツが散りばめられている。可愛い絵柄とのギャップは……今の時代それほど新鮮でもないかな。
いっぱい出てくる気持ち悪い生き物も見どころ。
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最後に
なんとういかこの作家は、全然別の場所にあるはずの「ハッピー」と「サッド」をぎゅっと寄せて、日常にシュールさを産むのがうまい。
なんかすごい嫌なことでもあったのかなって思ってしまう。
方向性は違うけど阿部共実と同じような違和感。コミカルなんだけどブラックユーモアにあふれてて、作者がちらっと見えた瞬間、もう虜になってる。
単行本第4巻の初回限定版特典に『ゴーストライター』っていう冊子がついてたんだけど、ああいうのまたやってくれないかな。あれすごい嬉しかった。
単行本未収録の短編集も、まとめてウェブか何かで公開してくれー。
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