『鬼滅の刃』に見た計算尽くしのマーケティング【ヒットの理由を分析】

鬼滅の刃ヒットの要因

『鬼滅の刃』が大ヒットした要因は大きく二つ。

  • 集英社は、作品ヒットまでの道筋をビジネスモデルに落とし込めており、作品のポテンシャルを最大化できるため。
  • アニメ化の際に妥協を許さないクリエイティブ制作と綿密なプロモーション戦略があり、ファン獲得に成功したため。

この記事ではその二つの解説と、補足としてイノベーター理論を用いて鬼滅の刃という作品のヒットの軌跡を紐解いていきます。

鬼滅の刃ファンの方、マーケターの方にぜひ読んでほしい内容となっています。

鬼滅の刃ヒットの概要

2016年2月週刊少年ジャンプ連載開始
2016年6月コミック第1巻発売
2019年3月コミック累計350万部(14巻)※平均25万部
2019年4〜9月アニメ放送(全6ヶ月2クール)開始
2019年9月コミック累計1200万部(16巻)※平均75万部
2019年12月コミック2500万部(18巻発売、初の100万部突破)※電子書籍含む 平均138万部小説版2作が累計70万部突破

鬼滅の刃のコミックスの第1巻は2016年6月に発売されましたが、2018年6月までコミックス計11巻の累計発行部数は250万部程度でした。
(『文豪ストレイドッグス』や『妹さえいればいい。』『ぐらんぶる』とほぼ同ペース。人気と言えば人気だが、漫画好きしか知らないような状態。)

2019年4月からアニメの放送が開始。放送終了時にはコミックス累計発行部数は1200万部に到達。

さらに『鬼滅の刃』ブームを加速させるために一役買ったのが、Netflixなどの定額動画配信サービスでした。

通常テレビ放送のアニメは見逃してしまえば再放送まで見ることができません。一方、定額動画配信サービスでは、自分の都合のいい時間にアニメを視聴することができます。

新型コロナウイルス感染症の拡大で定額動画配信サービスの契約が急速に伸びる中、「追加料金がかからなければ世間で噂になっているアニメを見てみよう」と興味を持つ人が増え、そのまま「鬼滅の刃」のファンになった人達も多いことでしょう。

定額動画配信サービスによって評判のアニメをすぐに見ることができ、『鬼滅の刃』熱が冷めない間にコミックスなどの購入行動につなげていくことができたといえます。

そして『鬼滅の刃』のアニメ化以降、コミックスの売り上げは爆発的に増加し、2020年10月には遂に累計1億部の発行部数を超えることになりました。(『ONE PIECE』の記録を抜く史上最速の偉業)

そして外食・食品・衣類・雑貨などのコラボレーション商品が完売したり、コラボ先企業の企画として過去最高売上を記録したりするなど、連載が終了した今でもビジネス面で大きく経済圏を広げています。

「ジャンプ」の作品作りがポテンシャルを最大化する

今の時代、SNSを活用すれば最短ルートで漫画家になることも夢ではなく、「編集者不要論」がささやかれる中、、真っ向から異なる価値観で対峙している漫画誌のひとつが『週刊少年ジャンプ』です。

鬼滅の刃は、そんな雑誌で連載されました。

編集者による新人育成を重視し、少年漫画さながらの熱量で、歴代の連載作家&編集者たちが培ってきた「『ジャンプ』らしさ」を徹底して叩き込む。

『週刊少年ジャンプ』編集部の杉田 卓氏は以下のようにいいます。

編集者や出版社なしで成功するロールモデルが新たにできたのはわかるのですが、それで編集者や出版社が不必要かというと、違うかな、と。編集者と出版社はいまだに作家が活用できる最大のツールだと思います。

とくに値千金の大ヒット、長期的に通用する実力を新人作家が手にするには「蓄積された編集部のノウハウ」や「出版社の宣伝機能やメディア・海外展開サポート」を活用するのが圧倒的な近道なのは間違いないと思います。

杉田氏

編集者が「面白くない」と思ってるものを「面白い」と言ったら、終わりです。その時点で作品や作家の成長は止まりますし、作家と編集者の信頼関係も、読者との信頼関係も、大ヒットの可能性もなくなってしまいます。

ダメ出しされたからこそ、もっと面白いアイデアが捻り出される。高い「壁」があったからこそ、乗り越える過程で大化けした名作が『ジャンプ』にはたくさんあるように思います。

だからこそ本当に自分の限界まで命を燃やして「もっと面白くしたい!」と『ジャンプ』に挑戦してくれる作家さんがいる以上、ジャンプ編集部は「壁」であり続けないといけないと思うんです。

杉田氏

ジャンプ+のデータ活用

また2018年、Google社サイトに「集英社によるアナリティクス360およびGoogleデータスタジオ導入活用事例」が、グローバル成功事例として掲載されていました。

マンガ誌アプリ『少年ジャンプ+』では、ユーザーの好みや興味関心に対応したコンテンツを制作するため、Google アナリティクス 360およびGoogle データスタジオを活用して、リアルタイムのモニタリング環境を構築しました。
その結果、コンテンツに対してユーザーがどんな反応を示しているか、訪問数とアクティブユーザーの増加にどれだけ貢献しているか、などのデータがリアルタイムに作成されるレポートで把握できるようになり、編集者や作者がコンテンツ制作の判断材料として即座に活用することも可能になりました。

集英社によるアナリティクス360およびGoogleデータスタジオ導入活用事例

週刊少年ジャンプが長年培ってきたヒット作品を生み出すノウハウに加え、最近ではITを利用した分析も実績があるようです。

アニメ化の際の緻密なプロモーション

アニメ化の仕掛け人:高橋祐馬氏

さて、社会現象となり、驚くべき経済効果を生んでいる鬼滅の刃ですが、人気を大きく拡大させる契機となったのがアニメ化です。

そのアニメ化の仕掛け人となったのが、プロデューサーとして活躍したアニプレックス 企画制作第1グループ 企画制作部4課 課長の高橋祐馬氏。

連載が始まって間もなく高橋氏は集英社にアニメ化を打診。その後、座組を検討する中で、制作会社をufotable(ユーフォーテーブル)に決めたといいます。

「過去十数年制作を共にしてきて、物語の明暗や夜のシーン、戦闘の描写を得意とするufotableがつくる鬼滅の刃を一人のファンとして見てみたかった」

「ufotableは省略するという選択肢があっても、それを一切しない。テレビや映画の区別をせず、常に全力で、絵として美しく格好よければどんな労もいとわない」

高橋氏

定額動画配信サービスを意識した戦略

高橋氏は作品を見やすい環境をつくるため、異例の展開をします。

「深夜だからといって視聴者が限定されるわけではない。録画をしたり配信サービスを利用したりと、届け方は様々。深夜で放送していることを知らずに、動画配信サービスをファーストウインドーとして見るケースも少なくない」

高橋氏

通常の深夜アニメであれば4、5局で放送されるところを、何と20局と提携しました。

地上波放送だけでも人口カバー率は約70%以上。それだけで8000万人が視聴でき、BS/CS放送も含めればテレビのプラットフォームだけで日本全国の人が視聴できる環境をつくりました。加えて、動画配信サービスも「契約できるところすべて、約20社と契約した」といいます。

「プランは明確だった。リーチをどれだけ広げるかが大事で大前提。地道な話し合いと、その調整だけに数カ月を要した」

高橋氏
Amazonのアニメ見放題サービスで「鬼滅の刃」を観る

斬新だった映画館での先行上映

高橋氏も「知る限り前例がない」と言うほどユニークなプロモーション戦略となったのが、アニメ放送前の19年3月末に1~5話で構成される特別版を劇場公開したことでした。放送前のため、興味を持って見に来るのは原作の漫画ファンが多い。

「応援者でありながら一番厳しいファンに対し、自分たちが作品に真摯に向き合い、面白いものをつくろうとしていることを伝えたかった」

高橋氏

結果、ミニシアターランキングで2週連続1位を獲得し、全館での上映期間延長に至りました。

その情報がSNSなどで拡散。話題性を高めた状態でテレビアニメが並行してスタートを切ることとなります。

またアニメ放送では、第1話はCMを挟まず本編を一気に流すという、これもまた異例の工夫を行いました。

第1話は、ゆっくりと作品の世界観やキャラクターの心情に没入していく映画の序盤を見るようなエピソードになっています。

その没入感を妨げないため、ufotableからの提案もあり、CMを途中に入れないことにしたのです。

「数カ月にわたり、契約した20の各放送局や代理店に地道に相談をした」

高橋氏

視聴者が離れない工夫

テレビアニメは第1話の視聴率が最も高く、回を重ねるごとに下がっていくケースがほとんどです。配信サービスも同様で、第1話の再生回数が一番多くります。

しかし、鬼滅の刃では話数を重ねるにつれ、再生回数が増えていきました。

「作品の盛り上がりは右肩上がりになっていくのではなく、少しずつ階段を上っていくようなもの。鬼滅の刃でいえば、4~5話のスパンで1つの任務をこなして鬼を倒すというフォーマットがある。任務1つが階段の1段で、次の任務に行くためには視聴者に1段上ってもらわなくてはならない。宣伝プランをつくるうえで、1段ごとに作品との出合いの場をつくり、盛り上がりを階段状につくることは、テレビアニメのマーケティング的には非常に大事」

高橋氏

しかも、鬼滅の刃は2クール26話という長尺の作品。期間にすると約半年です。

そこで、ファンの熱が冷めて離れないよう、キャストやスタッフが出演してトークを繰り広げる「鬼滅ラヂヲ」や、AbemaTVと連動した「鬼滅テレビ」などを放送。新しい話題を提供し、作品と接する場を積極的に設けました。

「4~5話で1つの任務が終わったタイミングで、今まで応援して見てくれた人に『これからもよろしくお願いします』というメッセージを伝え、これから新規で見始める人には見どころを紹介して、期待を高められるようにした」

高橋氏

また、19年10月には生でアフレコなどが見られる「鬼滅の宴」といったリアルイベントも開催し、チケットが完売。映画館でのライブビューイングにもファンが殺到しました。

「鬼滅の刃はうまくエピソードが分かれているので、アニメも設計しやすく、徐々に盛り上がっていくようにできた」

高橋氏

その効果が最も表れたのが、放送終了後に「神回」とTwitterでトレンド入りし続けた、第19話「ヒノカミ」でした。構成の段階から制作陣の間では19話をクライマックスにしようという意図があったといいます。

「ここに至るまでが大事だった。主人公の技が通用せず、仲間と別れて1人で戦うという、18話まで描いてきたものと異なるシチュエーションに置かれる。その中で、家族や妹の存在が彼を助ける。強敵に勝利できた感動は、その絆をきちんと描いてきたからこそ生まれるもの。それがすべて結実した回だった」

高橋氏

主題歌「紅蓮華」の相乗効果

アニメとの相乗効果でヒットに拍車をかけたのが、LiSAが歌うオープニング主題歌「紅蓮華」でした。

紅白出場、100万ダウンロードを突破してミリオン認定を受けたほか、オリコンの週間デジタルシングルランキングの「歴代累計ダウンロード数記録」では3位となりました(20年6月)。

「曲を聴いたら作品を思い出す、作品をイメージしたら曲を思い出す、作品とアーティストをセットで思い出してもらえる曲にしたかった」

高橋氏

そこで、今のテレビアニメとしては例外的に、2クールにわたってオープニングとエンディングの両方を変えない方法を採りました。

ufotableを起用したのと同様、10年来の付き合いがあって全幅の信頼が置けるLiSAにオファーしたようです。

劇場映画『鬼滅の刃 無限列車編』の公開

2020年10月16日、劇場映画『鬼滅の刃 無限列車編』は全国365館という規模で上映されました。

さらにそれに先立ち、10月10日からはフジテレビのゴールデン・プライム帯で特別総集編を2週にわたって放送。また、関東のローカル放送では総集編に含まれない話数を一挙放送していきました。

劇場映画は連続7週にわたって国内興収トップを走り、11月30日の時点で興収275億円という大ヒットとなっており、宮崎駿監督が『千と千尋の神隠し』(2001年)で打ち立てた国内興収1位である308億円という大記録も更新しそうです。

大ヒットの理由として、もちろんコロナ禍によって洋画の配給作品が乏しく、多くのスクリーンでの上映が可能だったという外的要因も挙げられていますが、現代社会を生きる人たちにとって、作品のメッセージが強く響いたことも、見逃せない点であることは間違いありません。

『千と千尋の神隠し』の場合

1970年代~80年代の日本映画界は、長らく低迷期にありました。

90年代になるとテレビ局が積極的に映画制作に参入するようになり、電通や博報堂といった大手広告代理店、出版社などと提携した「製作委員会方式」が広まります。

安定した興収が期待できることから、日本独自のこのシステムを国内の映画配給会社も喜んで受け入れました。同時に各地にシネマコンプレックスが次々と建てられ、映画を快適に楽しむ環境が整備されていきました。

ゴージャスさのあるハリウッド作品などの洋画に比べると、それまでは地味で見劣り感のあった日本映画ですが、作品のクオリティ、スケールの大きさかつ多層的な世界観、抜群のエンターテイメント性で観客を魅了したのが、全盛期を迎えた宮崎駿監督の劇場アニメーション作品でした。

そんな中、スタジオジブリ作品は、次第に映画界を席巻していきます。宮崎ワールドの集大成として位置付けられた『もののけ姫』(1997年)は、当時の日本興収記録を塗り替える193億円という大ヒット作となりました。

宮崎監督の新作に対する期待感が高まるなか、2001年7月に『千と千尋の神隠し』が公開されました。公開に合わせる形で「製作委員会」に参加していた日本テレビは連日のように特番を放送し、電通をはじめとする「製作委員会」各社によるCMスポットや新聞広告、コンビニでのキャンペーンなど、すさまじいほどの宣伝攻勢が繰り広げられました。

『千と千尋の神隠し』が制作されていた2000年前後は、西鉄バスジャック事件などの未成年者による凶悪犯罪が多発し、公開から間もない2001年9月にはNYで同時多発テロが起きています。異世界に迷い込んだ少女・千尋がひたむきに働く姿は、観る人に心地よい安心感を与えました。

宮崎監督の『千と千尋の神隠し』が大ヒットした時代は、今のようにSNSがまだ普及していませんでしたが、かつてない規模の宣伝戦略が功を奏し、『千と千尋の神隠し』は308億円という前人未到の大記録を生み出しました。興収面だけでなく、内容も高く評価され、社会派作品を重視するベルリン国際映画祭では、アニメ作品としては初となる「金熊賞」(最高賞)、米国の本場アカデミー賞でも「長編アニメ賞」を受賞します。

さまざまな面で頂点を極めた『千と千尋の神隠し』は、スタジオジブリにも転機を招きました。『千と千尋の神隠し』があまりにも大ヒットしたために、同時期に公開された他の作品たちの上映の機会を奪ってしまったことを反省し、『ハウルの動く城』(2004年)以降は、宣伝展開をトーンダウンさせることになります。価値観や文化の多様性を尊ぶ、宮崎監督らしい判断でした。

観客の心と作品がリンクして社会現象化が起きる

『千と千尋の神隠し』は西鉄バスジャック事件や同時多発テロ。

そして250億円を超える大ヒットとなった新海誠監督の『君の名は。』(2016年)は、2011年に起きた東日本大震災がモチーフになっています。

『鬼滅の刃 無限列車編』の劇場では、多くの観客が炎柱・煉獄杏寿郎の熱き戦いぶりに涙を流しています。「強く生まれた者の責務」をまっとうしてみせる杏寿郎のようなメンター(指導者)への憧れが、私たちにはあるのではないでしょうか。

不透明で先行きの見えない現代社会において、杏寿郎のような信念を貫く上司や先輩がいてくれれば、どんなに心強いことでしょう。

個人が何を感じるのか、どう思うのかを大切にし、誰が見ても理解できるように

高橋氏は「ユーザーと作品の間に橋を架けるのが自分の仕事」といいます。

アニメを放送するテレビ局や配信サービスを増やして多くの人が見られる環境をつくり、劇場での先行上映で原作ファンとの信頼関係をつくり、ラジオや番組で視聴者をつなぎ留め、新しい視聴者を獲得しました。

「場をつくることは、意図して努力しなければ創れないもの」

「宣伝は、ユーザーに情報を正しく分かりやすく伝え、作品との間にどれだけよい橋を架けられるかが重要。これは、過去に携わってきた作品すべてに言えることで、今までのキャリアで一貫して行ってきた」と振り返る。社会現象とも言えるほど人気を博した鬼滅の刃だが、高橋氏は「ヒットの魔術はない」と説く。「結局は一人ひとりの視聴者の重なり合い。だからこそ、個人が何を感じるのか、どう思うのかを大切にし、誰が見ても理解できるよう制作した。その結果、1の総体を大きくすることができたのだと思う」

高橋氏

視聴者のことを思いやり、どのように作品との橋渡しをするのが最適かを考えるのがマーケティングの視点では何よりも大事だということが学べました。

アニメだけでなく、全てのサービスで同じことが言えるので、とても勉強になります。

ヒットを説明できる「イノベーター理論」

具体的な説明は省略しますが、「イノベーター理論」を用いて、鬼滅の刃のヒットの仕組みを紐解くことができます。

イノベーター理論とは

イノベーター(革新者)2.5% いち早く購入する人。新しいもの好きで誰よりも先に手に入れたいと思っている
アーリーアダプター(初期採用者)13.5%情報に敏感で自ら情報を収集し、良いとおもったら購入する人
アーリーマジョリティー(前期追随者)34%既に話題になっている商品を購入する人。口コミに影響を受けやすい人
レイトマジョリティー(後期記追随者)34%革新的なもの、一時的な流行には懐疑的だが周囲の半分以上が支持している状態になると安心して行動する人
ラガード(遅滞者)16%保守層。新しい物に興味がない人

新製品が市場に投入されるとまずは「イノベーター(革新者)」と呼ばれる最先端技術など新しいものに非常に高い関心を示す層が消費を始めます。消費者のおよそ2.5%がこの「イノベーター」層に該当します。

続いて消費を始めるのが「アーリーアダプター(初期採用者)」と呼ばれる層です。「アーリーアダプター」は消費者の13.5%を占め、「イノベーター」ほどではありませんが、新しい商品に対する情報感度の高い消費者層です。実際の消費の場面ではテレビなどのメディアやSNSなどを活用した“オピニオンリーダー”や“インフルエンサー”として、消費の拡大に多大な貢献を果たす消費者層ともいえるでしょう。

それから商品が徐々に流行してくると消費を始める消費者層が「アーリーマジョリティ(前期追随者)」と呼ばれるグループになります。特徴としては、これまでになかった新たな商品に対しては購入に比較的慎重な態度を示しますが、「流行に乗り遅れたくない」という気持ちから平均よりも早く消費を始めます。この「アーリーマジョリティ」は消費者全体の34%を占めるために、このグループにまで新製品が浸透してくると爆発的なヒットの兆しが見られるようになります。

次に消費を始めるのが「レイトマジョリティ(後期追随者)」と呼ばれる層です。この「レイトマジョリティ」の特徴は、新製品に対して懐疑的であり、時間をかけて新製品の評判などを慎重に吟味し、大多数の高評価を確認したうえで自分に必要とあらばようやく購入に踏み切ります。「レイトマジョリティ」は消費者層の34%を占めますが、大多数の消費者につられて消費を始めるために「フォロワーズ」とも呼ばれています。

そして最も遅く消費を始めるのが「ラガード(遅滞者)」と呼ばれる層です。この「ラガード」は最も保守的な消費者層であり、新製品が伝統的、文化的になるまで購入に至らないとされています。中には最後まで新製品を受け入れない頑固な消費者も存在します。この「ラガード」は消費者全体の16%を占めています。

画期的な新製品を爆発的なヒットに導くためには、これら5つの特徴ある消費者層に対して順番に効果的なアプローチを行わなければならないということになります。

イノベーター理論で鬼滅の刃を紐解く

妹を人間に戻すため鬼を討つ旅に出るストーリーは、「イノベーター」や「アーリーアダプター」の心は捉えていたものの、爆発的なヒットの鍵を握る「アーリーマジョリティ」にはまだまだ届いていませんでした。

そこで「アーリーマジョリティ」にアプローチするために取った方法が、アニメ化でした。2019年4月からアニメの放送が開始。放送終了時にはコミックス累計発行部数は1200万部に到達。この段階で着実に「アーリーマジョリティ」が消費の輪に加わったといえるでしょう。

『劇場版「鬼滅の刃」無間列車編』の記録的なヒットは、「レイトマジョリティ」へのアプローチにも成功した結果といえます。

その一番の要因は多大なるメディアへの露出です。『劇場版「鬼滅の刃」無間列車編』は、わずか10日間で異例の興行収入100億円を突破すると、テレビを始め、インターネット、新聞、雑誌、SNSなどありとあらゆるメディアでその偉業が取り上げられ、恐らくほぼ全員の消費者が何らかの形で『鬼滅の刃』の情報に触れることになります。

加えて数多くの芸能人や著名人が『鬼滅の刃』のコスプレを行いSNSで拡散していくことも『鬼滅の刃』に対する興味を飛躍的に高めることに一役買っているといっても決して過言ではありません。

ヒットの再現性

  • 作品のポテンシャルの最大化を追求する。
  • 視聴者のことを思いやり、作品を届ける。
  • イノベーター理論での分析。

こういった観点を参考にすると、鬼滅の刃のような規模ではなくても、ヒットを再現することはできそうです。

マーケティングにおいて大事なことが、鬼滅の刃にはたくさん詰まっていることがわかりました。

どんな作品、サービスにも共通することですので、ぜひ参考にしたいですね。

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